透明な組織

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    物体が透明であるためには、当たった光が物体の表面や内部で吸収されず、また散乱もしないで通り抜けることが必要です。私たちの身の回りにある物質のほとんどはこの条件を満たしません。当たった光は内部で吸収されたり、散乱したりして結局通り抜けることができず透明になりません。ガラスはすべての光が散乱せずに通過してくるので透明なのです。
    人体でガラスのように透明な組織が二つあります。角膜と水晶体です。これらは外界から入ってきた光を透過させ、かつ適度に屈曲させて網膜に結像させる、いわばレンズのような役割を果たしてます。いずれも皮膚と同じように外胚葉からできますが、透明性確保のため内部の蛋白質が整然と並ぶなど特別な構造をしています。
    薬剤や感染症、加齢などでこの精緻な構造に変化が生じると透明性を失って角膜混濁や白内障をおこします。
     


    クオラムセンシングって何?

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      細菌は単細胞生物で、各々勝手に生きていると思われがちですが、まるで示し合わせたかのように歩調を合わせて行動することがあります。
      最初にこの現象が確認されたのは、蛍光物質を産生するVibrio属の細菌です。この菌は、周囲の菌数が一定以上になると一斉に蛍光物質を産生し始め光りだします。その後多くの細菌で同じような現象、つまりあたかも周囲の細菌密度を感知し行動しているかのような現象が次々に発見されました。これはクオラムセンシング(quorum sensing:QS)と名付けられました。クオラムというのは議会の定足数という意味です。周囲の同種の菌数を感知して、それが定足数を満たすと、一斉に特定の遺伝子をスイッチオンにし、特定の物質を産生し始めます。これらの産生物には病原性に関係するものもたくさんあります。たとえば生体の免疫から自分たちを守るシールドのような役割をするバイオフィルムの形成や、各種病原因子の産生などです。
      このクオラムセンシングがどうやって起こるのかもわかってきました。細菌はいつも周囲にその菌種固有のオートインデューサー(AI)と呼ばれる物質を分泌しています。周辺に同種の菌が増えてこのAIの濃度が増えるある一定の濃度を超えると、菌のセンサーと結合するAIが増え、特定の遺伝子を活性化しだすのです。細菌は話したりや身振り手振りなどはできませんが、このような巧妙な手段で集団行動し、効率的に自分たちの繁殖に有利な状況を作りだしていたのですね。
      近年抗生物質耐性菌の増加が大きな問題になっています。新しい抗生物質ができてもすぐに耐性になってしまいます。そこでAIの働きを阻害するQS阻害剤の開発がすすめられています。QSを妨害し、病原因子産生を抑制してその病原性を弱めようという作戦です。これが実現できれば人類は細菌感染に対し新しい防衛手段を得ることになるでしょう。

      RSウイルスの流行が夏に?

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         RSウイルス(respiratory syncytial virus )は、ヒトの気道に感染するウイルスです。RSという名前は、感染を受けた細胞の細胞膜が互いに融合して多核の巨大な合胞体(syncytium)を作ることに由来しています。感染しても終生免疫は得られず、生涯にわたって感染を繰り返します。ヒトヒト間で感染が繰り返され、人間社会に普遍的に存在しているウイルスの一つです。そのため、生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼすべての子どもがこのウイルスに感染します。年齢があがると免疫力があがり、感染してもいわゆる鼻かぜ程度の症状で治癒します。重症化するのは生後数か月までの赤ちゃんが初めてこのウイルスに感染した時です。この月齢の児には通常母から胎盤を通じてもらった移行抗体がありますが、それにもかかわらず高率に気管支や肺にまで病変が広がり、ひどい呼吸困難を引き起こしたり、突然の呼吸停止をおこしたりします。赤ちゃんにとっては天敵のようなウイルスと言えます。
         さて、このウイルス、日本では従来インフルエンザと同様に冬に流行する代表的ウイルスのひとつでした。しかし近年流行時期がだんだんと気温の高い時期に変わってきています。2017年以後は夏にピークがくるというパターンになって話題になっています。
        流行のピークが冬から夏に移ってきた理由はなんでしょう。明らかな原因はまだよくわかっていませんが、いくつかの説があります。
        まず世界的な温暖化の影響です。RSウイルスは温帯では冬ですが、熱帯や東南アジアのような常に気温が高い地域では一年中みられ、特に雨季のような湿度の高い時期に流行がみられます。日本とは真逆の高温多湿の環境で流行するということです。なぜこのような地域差があるのかはよくわかっていませんが、地球規模の気候変動に伴って日本も亜熱帯的な気候になってきたのが、RSウイルスの夏の流行につながっている可能性があります。このほかに グローバル化に伴って激しくなった国際的な人の動きが挙げられます。熱帯・亜熱帯地域からの人の移動が日常的になって持ち込まれているのではないかととうい説です。
         地球温暖化や社会のグローバル化はこんなところにも影響している可能性があるんですね.。
         


        人体で一番小さい骨はどこにある?

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          耳の穴の奥には外耳道というトンネルがあり、突き当りには鼓膜があります。音波は外耳道を通り、鼓膜に当たってこれを振動させます。鼓膜の奥には「中耳」と呼ばれる小さな空間(鼓室)があり、そしてそのさらに奥は「内耳」とよばれるところがあります。内耳にはリンパ液の振動で音を感じる感覚器があります。鼓室は、音波を増幅しリンパ液の振動に変換する所です。たとえば声を電気信号に変換する受話器ような働きをする場所といえます。この働きに重要な役割を果たすのが、鼓室内で鼓膜と内耳の間に橋のように架かる3つの小さな骨(耳小骨)です。大きさはどれも数个如⊃預里旅の中で最小です。その形から、つち骨(槌骨)、きぬた骨(砧骨)、あぶみ骨(鐙骨)という名前がつけられ、つち骨は鼓膜と、あぶみ骨は内耳の入り口とつながっています。3つの骨の間に2つの関節があって、てこの原理で鼓膜の振動を増幅して内耳のリンパ液に伝えます。小さくてもとても重要な役割を担っているのですね。

          構音の発達

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            前回のブログで母音と子音について書きました。舌や口唇等の形や動きを調整し、母音や子音を作ることを構音といいます。こどもたちは毎日聞き話すことでだんだんと複雑な構音ができるようになっていきます。
            構音の発達には順番があります。母音の完成が2歳、すべての子音がしっかり構音できるようになるのは5〜6歳ころになります。子音のほうが複雑な動きを要求されるので獲得に時間がかかるのです。その子音にも、早期に構音できる音と、時間のかかる音があります。獲得に時間がかかり完成が4歳以後になる代表は、さ・ざ行の “s” “z”、つ・づ行の “ts” “dz”、ら行の “r”です。
            ちなみに、発達の過程で、後期に獲得する音が早期に獲得された音になることがあります。例えば「さ」が「た」になるなどです爐気な‘’ が ”たかな” になるようなケースです。“s”という子音が “t”という子音に置換されています。これは発達途上におこりがちな誤りなので心配いりません。
            音の出現時期,完成時期には個人差が大きく,特に4歳までは顕著ですので、他の子に比べて遅いと感じられてもたいてい心配ありませんが、気になるようならご相談ください。
            最後に、これは構音の問題ではありませんが、小さい子どもでは音の配列の誤りがしばしばみられます。「エレベーター」が「エベレーター」になるような音の入れ替わりです。これは5〜6歳ころには自然になくなります。
             


            母音と子音

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              日本語の音は、「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の母音と、それ以外の子音で成り立っています。母音は、呼気が口から出るまでの間、遮断されたり強く狭められたりせずに発せられる音です。主に口唇のすぼめ具合と舌と口蓋の距離を調節することで作られます。日本語では上記の5つの母音があります。まだ言葉をしゃべれない赤ちゃんも「アー」「ウー」などの母音なら声に出すことが可能です。 “最初から出せる音”という意味で、「母音」と呼ばれています。ちなみに英語の母音は20以上あります。appleのæ 、fun のʌ 、boxの a、fatherのa:、armのa:r、learnのə:r 、aboutの ə、doctorのər・・・と日本語の「あ」に近い音だけでも8個もあります。同じような音でも単語の中にはいることで微妙に変化するのです。日本人にとって英語の発音がむずかしいのも頷けます。
              一方、子音は舌や唇の細かい動きによって、呼気の流れを意図的に遮断したり狭めたりすることによって作られます。日本語には子音だけの語はなく、必ず後に母音がつきます。たとえば「た」なら“t+ a”、「ぱ」なら“p + a”という具合です。息の流れの妨げが起こる場所を講音点と呼びます。「ぱ」は口唇を閉じることで、「た」は口蓋と舌が前歯の裏で接することで作られます。「ぱ」では口唇が、「た」では前歯の裏が構音点になります。子音を作るには舌や口唇等の形や動きを調整するたくさんの筋肉がうまく協調して働くことが必要で、習得するまでに時間がかかります。

              ウイルスを使った害虫駆除

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                「タイワンカブトムシ」という種のカブトムシは、ヤシ類の葉柄の基部に侵入して摂食し枯死させる害虫です。インドシナ半島原産ですが、近年は分布に広がりをみせ、日本でも沖縄や奄美群島などで繁殖しています。海外ではアブラヤシやココナツ農園の主要な害虫となっており、沖縄県でも、ビロウやその他のヤシ類、サトウキビ、パイナップルなどで被害が出ているとのことです。この害虫対策のひとつとして、このカブトムシに感染するウイルスを使った方法があります。
                 ウイルスはほとんどの生き物に感染します。細菌に感染するもの、カビに感染するもの、植物、動物に感染するもの、本当にありとあらゆる生物に感染するウイルスが見つかっています。しかしそれぞれのウイルスには感染できる生物の種類が限られているという特徴があります。ウイルスはその宿主となる生物細胞に特徴的な性質を利用して増殖するからです。海や川の水のなかにもたくさんのウイルスがいますが、ヒトに感染するウイルスがいないので安心して泳げるわけです。
                 Oryctes rhinocerosnudivirus (OrNV) というウイルス、ほぼタイワンカブトムシだけに感染します。そこでこのウイルスを注射したタイワンカブトムシの成虫を野に放つと、その糞にまみれた腐葉土を食べた幼虫にウイルスが蔓延し死んでしまいます。このウイルスを使う方法は化学農薬と違い他の動植物には害を与えなという利点があり、他の害虫にも応用が進んでいるようです。ただし、たとえばOrNV はタイワンカブトだけでなく他のカブトムシに感染し致死的な病変を起こすことも報告されているなど、使用については極めて慎重な判断が必要とされています。
                 


                汗のお話

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                  暑くなってきました。いよいよ汗ばんでうっとうしい季節の到来です。汗を作り体表に送り出す汗腺は、皮膚に開口部を持つ井戸のような構造で、皮下数个砲△觝膿蕊瑤粘世慮気鮑遒辰討い泙后その後皮膚表面に送られるまでにいろいろな成分が吸収され、最終的には少量の塩化ナトリウムを含む99%水分の汗になります。汗がべとついたり、乾いたあとを舐めて塩辛いのは、汗に含まれている塩化ナトリウムのせいです。また汗自体は無臭ですが、時間が経つと汗に溶けた皮膚表面の蛋白や脂肪酸などが細菌による分解を受けるため、酸っぱい臭い、雑巾の臭いなどと表現される汗臭さの原因になります。

                  汗腺はほぼ全身の皮膚に分布し、皮膚1㎠当たり100−500個もあります。汗は全身で同じように出るのではなく、部位によって違いがあり、四肢よりは体の中心部で多い傾向があります。最も多く汗をかくのは頭部で、次が背中の真ん中付近です。
                  汗の最も重要な役割は体温の調節機能です。気温の上昇や運動などで体温が高くなった時に発汗がさかんになります。汗の水分が皮膚の上で蒸発するときに熱が奪われ(気化熱)、それによって体温を36.5℃前後に保つことが出来るのです。暑い日に道に水を撒くと涼しくなるのと同じ原理です。もし汗をかかないとしたら、熱が身体に籠もってどんどん体温があがってしまい危険です。先ほどの汗のよく出る部位が体の中心部に多いというのも、脳や脊髄などの熱に弱い組織を効率的に守るためではないかという説があります。このように汗は私たちの生命維持に極めて重要な働きをしているのです。
                  ちなみに、ヒトは緊張したときにも発汗しますが、これは手のひら、足の裏、腋などにたくさん出る傾向があります。手のひら、足の裏の発汗は、大昔サルが天敵から逃げる時、手足がすべって木から落ちないためにこの部に発汗したことの名残といわれいます。
                   


                  帯状疱疹

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                    水ぼうそうの原因である水痘ウイルスは、分類上ヘルペスウイルス属というグループに分類されます。このグループのウイルスには水痘ウイルス以外に7つのウイルスが含まれますが、いずれも初感染のあと神経細胞や免疫系の細胞に潜伏感染し、宿主の免疫力の低下したときに再活性化(再び増殖を開始)するという特徴があります。
                    水痘ウイルスの場合、初感染では全身に水疱疹が出る水ぼうそう(水痘)になります。水ぼうそうは1週間くらいで治癒しますが、その後ウイルスは皮疹のあった所の知覚神経を逆行し、神経節という所に潜伏します。加齢や疲労など免疫力の落ちた時に再活性化し増殖したウイルスは知覚神経にそって、今度は皮膚に向かい、その支配領域の皮膚に水疱を作ります。これが帯状疱疹です。知覚神経の分布領域に一致して紅斑や紅色水疱が出現し、痛みを伴います。病変は顔面や体幹に多く、四肢に少ない傾向にあります。これは水ぼうそうの発疹の分布傾向と一致します。皮疹は片側性で神経の走行に沿う形で帯状なるのが特徴です。60歳代を中心に50歳代以上の患者さんが7割ですが、20歳未満の人も1割くらいを占めていて小児科でもそんなに珍しい病気ではありません。高齢者では帯状疱疹治癒後も強い痛みが長期に残り患者さんを苦しめることが有りますが、小児ではこのようなことはほとんどありません。帯状疱疹の皮疹にはウイルスがいますので、免疫のない人が皮疹にふれると感染することがあります。この場合うつされた人は水ぼうそうになります。初感染のように空気感染することは稀です。
                    尚、水痘ワクチンのウイルス株が潜伏して帯状疱疹を起こすことは無いとされています。
                     


                    毛虫皮膚炎

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                      日本にはたくさんの種類の蛾が生息しています。それらの幼虫の中には体表面に毒のあるトゲや毛を持つものがあり、接触すると痛みやかゆみを伴った皮膚炎をおこします。毛虫皮膚炎といい、ちょうど今の時期に患者さんが増えます。これらの蛾の代表としてイラガ、チャドクガ、ドクガがあげられます。

                      イラガの幼虫は5月〜6月に発生します。体表には多くのトゲを持った肉質の突起があります。トゲは体内の毒腺につながっていて刺すと同時に相手に毒液を注入します。刺されると電撃的な痛みが走ります。毒棘型といわれるタイプです。

                      チャドドクガとドクガの幼虫は毒針型とよばれるかゆみ中心の皮膚炎をおこします。これらの幼虫は5月〜6月、9月〜10月頃の年2回発生します。毒針毛と呼ばれる毛は0.1个曚匹念貮い某十万から数百万本あります(幼虫の体に見える長い毛は別のもの)。毒針毛が皮膚に触れることにより、数分から数時間でかゆみを伴う紅色丘疹ができます。毒針毛は飛散しますので、直接毛虫に触れなくても被害に会うことがあり、屋外に干した布団も要注意です。チャドクガの幼虫はツバキ類の植物の葉を餌としています。ツバキ、サザンカなどの低木は庭や公園によく植栽されていますので注意が必要です。ドクガの幼虫はバラ類(サクラ、ウメ、リンゴなど)、ブナ類、マメ類、ツツジ類など100種以上の植物の葉を餌としています。幼虫は一般に集団で活動しますが、葉の裏側に群生していて見つけにくいことも多いので、幼虫の多い時期には安易にこれらの木に近づかないように注意してください。尚、ドクガでは成虫も毒針毛を翅につけており、これを飛散させて皮膚炎をおこすことがあります。

                      対処法:かゆいところを掻破すると毒針毛をまき散らして新しい皮疹を作ってしまうことがあります。触れた部位、かゆみのある部位を粘着テープで何度も貼りはがしたあとシャワーを浴びて着替えてください。かゆみが強ければかゆみ止めやステロイドの軟膏を塗布します。


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